2015年05月29日 10時05分更新
6月1日から道路交通法が改正になることをご存じでしょうか?
しかも、今回の改正の最大のポイントは、「自転車の取り締まり強化」です。スマートフォンを見ながら自転車運転していてぶつかりそうになった方も多いと思いますが、これで激減することを期待しますね。
自転車での「事故」はこんな大きな犯罪を引き起こしています。
★ 自転車(大学生)の死亡ひき逃げ事故で逮捕
男性(77)が自宅マンション前の歩道に立てた脚立に乗って作業をしていたところ、大学生が運転する自転車が脚立に衝突し、脚立が倒され作業中の男性が転落死した交通事故。 事故後、自転車はそのまま逃走したためひき逃げ事件として捜査の上「重過失致死罪及び道交法違反(ひき逃げ)」の疑いで逮捕され送検された。
★ 死亡事故を誘発した自転車に「重過失致死罪」を適用し有罪判決
国道交差点で、赤信号を横断していた男性(96)が乗る自転車を避けようとしたトラックが道路脇の建物に衝突しトラック運転者が死亡した交通事故。 この交通事故で、赤信号を無視して自転車を運転していた男性は「重過失致死罪」で取り調べを受け書類送致された。 裁判官は、「信号に従って通行するのは自転車運転者の義務」とした上で、「赤信号を見落として自転車で横断し事故を引き起こしたのは重大な過失」と自転車の過失を認定し、禁固1年4ヶ月執行猶予3年の実刑判決を言い渡した。
損害額としても大きな判例が多く出ています。
★ 損害賠償額 6,779万円 東京地方裁判所、平成15年9月30日
男性が夕方、ペットボトルを片手に減速せず下り坂を走行後、交差点に進入し、横断歩道を横断中の女性(38歳)と衝突。 女性は脳挫傷等で3日後に死亡した。
★ 損害賠償額 5,438万円 東京地方裁判所、平成19年4月11日
男性が昼間、信号表示を無視して高速度で交差点に進入し、青信号で横断歩道を横断中の女性(55歳)と衝突。 女性は頭蓋内損傷等で11日後に死亡した。
★ 損害賠償額 5,000万円 横浜地方裁判所、平成17年11月25日
女子高校生が夜間、携帯電話を操作しながら無灯火で走行中、前方を歩行中の看護師(57歳)と衝突。 看護師には重大な障害(手足がしびれて歩行が困難)が残った。
これを受けて、6月1日以降、自転車にも、いわゆる“青切符”的な制度が導入されるのです。反則金レベルで済みますから、警察としてもどんどん摘発することになるはずです。
取り締まりの対象は14項目ですが、全て自転車だと普通に行われていることだと思います。
1.信号無視
2.通行禁止違反
3.歩行者専用道での徐行違反など
4.通行区分違反
5.路側帯の歩行者妨害
6.遮断機が下りた踏切への立ち入り
7.交差点での優先道路通行車の妨害など
8.交差点での右折車優先妨害など
9.環状交差点での安全進行義務違反など
10.一時停止違反
11.歩道での歩行者妨害
12.ブレーキのない自転車運転
13.酒酔い運転
14.携帯電話を使用しながら運転し事故を起こしたケースなどの安全運転義務違反
違反が摘発されたとしても、1回目の違反で即反則金納付ということにはなりません。3年間のうち2回目の摘発をされた場合に、警察が実施する「安全講習」を受講しなくてはならなくなります(ここで手数料の5700円が徴収されます。これが反則金と同じ位置付けになります)。費用はもちろん、講習は1回3時間で最後にテストまであるというのですから、負担はかなり大きくなります。 この安全講習を受講しないと、事件扱いとなり、裁判所への呼び出しの上5万円以下の罰金が科されます。今でも自動車の青切符を払わずに無視していると、手錠をかけられて逮捕・連行されることもあります。さすがに子供たちに手錠をかけるようなことはしないと思いますが……。
自動車による歩行者事故よりも自転車による事故の方が多くなる傾向の中、こうした思い切った対応が取られますが、マナー違反が目に余る以上仕方ないですよね。
これを契機にますます自転車保険の加入率は高まるでしょうが、保険会社が引受で悲鳴をあげる日も近い感じですね。
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