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高齢者「転倒」の早期検知・予防に挑む高分解能レーダーを介護施設で実証|保険ニュース

高齢者「転倒」の早期検知・予防に挑む高分解能レーダーを介護施設で実証

特別養護老人ホームで介護士より転倒を45分早く検知


2025年10月28日~30日に大阪国際会議場にて、「救急医学がデザインする“命輝く未来社会”とは」をテーマとした第53回日本救急医学会総会・学術集会が開催されました。

10月28日のランチョンセミナーにて、順天堂大学 医学部 救急・災害医学講座 近藤豊主任教授を座長、慶應義塾大学 医学部 救急医学教室 本間康一郎准教授を演者として、2024年10月より大東建託グループのケアパートナーが運営する高齢者グループホーム等の3つの介護施設で進めてきた「転倒検知」実証の成果をまとめた「生活空間における高分解能レーダーシステムによる転倒事故の早期検知・予防」の発表を行いました。

本発表内容は、本間准教授が研究代表者を務める研究の成果をベースとしており、本実証において、トータルフューチャーヘルスケアは全体計画の立案・推進、YKK APは介護施設へのセンサ設置支援等の協力を行いました。

I. 高齢社会での介護の逼迫
日本の高齢者(65歳以上)人口の増加に伴い要介護/要支援認定者数も増加しており、2030年時点で約900万人※1まで増加する見込みとされています。介護士は2040年には272万人が必要となり、2022年の実績からは57万人※2が不足するとされています。
仕事をしながら家族を介護するビジネスケアラーと介護離職を含む家族介護者は2030年には833万人※3、そのうちビジネスケアラーと介護離職による経済損失は9.1兆円※3と推計されています。
また、独居高齢者も年々増加する中で、2024年の孤独死者数のうち76%※4が独居高齢者であることから、増加する独居高齢者の孤独死数の増加も懸念されています。

II. 居住空間における「転倒」
こうした高齢化に伴う社会課題がある中で、要介護原因となる脳血管疾患や心疾患発症等で発生する失神や意識障害による「転倒」や、運動機能低下等による「転倒」を早期発見および予防できれば、多くの要介護化を防げる可能性があると考え「転倒」に注目しました。
運動機能低下による「転倒」は、特定の疾患・フレイル等の状態での発生確率上昇が報告されており、国内の居住空間での発生潜在数を推計すると年間約769万件に上ります。
また、失神と意識障害による「転倒」は、国内の居住空間での発生潜在数を推計すると年間約37万件に上ります。
さらに「転倒」による大腿骨近位部骨折であれば48時間以内の処置、脳梗塞の場合は4.5時間以内※5での血栓溶解療法が必要など、「転倒」後に早急な処置が必要となることが知られており、処置が遅れた場合は、転倒者の健康状態が悪化し、要介護化の一因になり得ます。

III. 高精度レーダーでの「転倒」検知
我々は、室内の壁面や天井に設置できる小型のレーダーセンサを用いて、「転倒」検知ニーズが異なる施設形態である、特別養護老人ホーム、大東建託グループのケアパートナーが運営する認知症高齢者グループホームとサービス付き高齢者向け住宅、ハーフ・センチュリー・モアの住宅型有料老人ホームで実証実験を行いました。

介護施設での実証目的と施設プロファイル
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/149885/9/149885-9-cd696e1e901acc93ee76afb26ae9a3c8-1299x657.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]



IV. 介護施設での実証・改善効果の考察
通常ケア頻度が高い特別養護老人ホームでは、大腿骨骨折となった「転倒」で、「転倒」から46分後にスタッフ救助が行われた事例がありましたが、その間センサ側では転倒後すぐの通知記録があったため、もしスタッフへ通知していた場合45分早い救助に貢献できた可能性がありました。
また、住宅型有料老人ホームでは、パーキンソン病を罹患している被験者が症状増悪の可能性から急激に「転倒」件数が増加したことがセンサによって定量的に明らかにされたため、部屋のレイアウトを変えるなど転倒予防措置を講じて転倒削減に寄与しました。

大腿骨骨折となった「転倒」をスタッフ発見45分前にセンサが通知
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/149885/9/149885-9-29fc0dab1cb29fda29f3380c6e18020e-1316x657.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]



パーキンソン病増悪可能性を「転倒」傾向から迅速に把握
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/149885/9/149885-9-9cffe6f1e3acb4173af2b87a3e443495-1321x634.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]



V. 高齢社会でのワンストップソリューションの必要性
今回の実証では、介護スタッフよりも早い転倒発見への貢献可能性、転倒傾向から転倒予防への貢献可能性を見出すことができました。これらから、介護施設や住宅に応じた「転倒」の即時検知を起点として救急搬送までつなぐワンストップソリューションが提供できれば、高齢者増加に伴う介護施設における介護業務の効率化、一般住宅に住む高齢者の介護予防、高齢者の住まいの確保などの課題解決に貢献できると考えています。

ワンストップソリューションによる介護業務の効率化・介護化の抑制
[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/149885/9/149885-9-223d9910604dda25647d76570d6ed4fa-1282x643.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]



(出典)
※1 厚生労働省「介護保険事業状況報告年報」(2020年) 、日本総合研究所・メディヴァ「介護分野及び福祉機器産業の将来像とロードマップ策定等に関する調査報告書」(2023年)
※2 厚生労働省「第9期(2024~2026年)介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」(2024年)
※3 経済産業省「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」(2024年)
※4 警察庁報道発表資料「令和6年中における警察取扱死体のうち、自宅において死亡した一人暮らしの者について」(2025年)
※5 脳卒中治療ガイドライン2021 【改定2025】

問い合わせ先
トータルフューチャーヘルスケア株式会社
contact@total-future-healthcare.com
■ トータルフューチャーヘルスケア株式会社(URL:https://www.total-future-healthcare.com/
「早期発見で、健康が続く社会へ。」を実現するため、生活空間で発生する転倒等の急変や、認知症等の疾患リスクの早期発見モデルの社会実装に向けて、最先端技術を有する技術パートナーと、エンドユーザーへサービスを届ける事業パートナーを繋ぐプラットフォームを構築します。

■ 大東建託株式会社(URL:https://www.kentaku.co.jp/
大東建託は、住宅を中心とした建物賃貸事業の企画・提案、設計・施工を中核に、グループ会社の事業領域を活かし、不動産の仲介・管理、介護、エネルギーなど、現代のニーズに合わせた多様な事業を展開しています。「大東建託らしいまちづくり」をテーマとする現在の中期経営計画では、人口減少などの社会課題に着目。様々な形で機能やサービスをつなぐまちづくりを展開し、「まちの活性化・地方創生」の支援を目指しています。

■ 慶應義塾大学医学部(URL:https://www.med.keio.ac.jp/
慶應義塾大学医学部は、「基礎臨床一体型医学・医療の実現」を理念に、先端医療技術の研究開発と高度な医療人材の育成を推進しています。再生医療などの革新的研究を進め、国内外の大学・研究機関と連携した研究を推進し、社会課題の解決に貢献しています。

プレスリリース提供:PR TIMES

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